2026年2月26日木曜日

服は気分の翻訳機

うまく言葉にできない日がある。
なんとなく落ち着かないとか、少しだけ強くなりたいとか、
理由はわからないのに、心がざわついている日。

そんなとき、私はクローゼットを開ける。
服は、私の気分を代わりに話してくれる存在だと思う。
まるで、気持ちを別の言語に訳してくれる翻訳機みたいに。

元気を出したい日は、少し明るい色を選ぶ。
本当は不安でも、はっきりしたシルエットのジャケットを羽織る。
「大丈夫」と、自分に向けて訳してくれる。

静かに過ごしたい日は、やわらかいニット。
誰にもぶつからない色合い。
「今日はそっとしておいて」と、やさしく伝えてくれる。

同じ私なのに、選ぶ服で印象が変わる。
それは演じているのではなく、
内側の気持ちを外側に変換しているだけなのかもしれない。

本音はいつも複雑だ。
強がりと弱さが混ざっていたり、
前向きさとあきらめが同居していたりする。
言葉にするとこぼれてしまう感情を、
布は静かに受け止めてくれる。

だから私は、服を選ぶ。
似合うかどうかより、
今日の気分をちゃんと訳してくれるかどうかで。

完璧に伝わらなくてもいい。
少しでも自分が納得できれば、それでいい。

服は気分の翻訳機。
今日の私は、どんな言葉に変わるだろう。
鏡の前で小さく息を整えながら、
私はまた、一枚を選ぶ。

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