うまく言葉にできない日がある。
なんとなく落ち着かないとか、少しだけ強くなりたいとか、
理由はわからないのに、心がざわついている日。
そんなとき、私はクローゼットを開ける。
服は、私の気分を代わりに話してくれる存在だと思う。
まるで、気持ちを別の言語に訳してくれる翻訳機みたいに。
元気を出したい日は、少し明るい色を選ぶ。
本当は不安でも、はっきりしたシルエットのジャケットを羽織る。
「大丈夫」と、自分に向けて訳してくれる。
静かに過ごしたい日は、やわらかいニット。
誰にもぶつからない色合い。
「今日はそっとしておいて」と、やさしく伝えてくれる。
同じ私なのに、選ぶ服で印象が変わる。
それは演じているのではなく、
内側の気持ちを外側に変換しているだけなのかもしれない。
本音はいつも複雑だ。
強がりと弱さが混ざっていたり、
前向きさとあきらめが同居していたりする。
言葉にするとこぼれてしまう感情を、
布は静かに受け止めてくれる。
だから私は、服を選ぶ。
似合うかどうかより、
今日の気分をちゃんと訳してくれるかどうかで。
完璧に伝わらなくてもいい。
少しでも自分が納得できれば、それでいい。
服は気分の翻訳機。
今日の私は、どんな言葉に変わるだろう。
鏡の前で小さく息を整えながら、
私はまた、一枚を選ぶ。
0 件のコメント:
コメントを投稿