クローゼットを開けると、静かに並ぶ布たち。
色も、形も、素材も違うのに、どれも確かに私の一部だと思う。
服はただの布のはずなのに、
袖を通した瞬間、体だけでなく心の形まで整えてくれる。
少し大きめのシャツは、余白をくれる。
ぴったりしたニットは、自分の輪郭を思い出させてくれる。
あの頃よく着ていたスカート。
背伸びして選んだジャケット。
安心したくて何度も手に取ったカーディガン。
一枚一枚に、その時の私が縫い込まれている。
失敗した買い物もある。
似合うと言われて買ったのに、なぜか落ち着かなかった服。
流行に惹かれて手に入れたけれど、出番の少なかった一着。
それでも、それも含めて私の選択だ。
布は嘘をつかない。
無理をしていると、どこか窮屈になる。
本当に好きなものは、自然と手が伸びる。
着心地は、心地よさと正直に結びついている。
年齢とともに、似合うものは変わる。
体型も、好みも、少しずつ揺れていく。
でも、その変化を受け入れながら選んできた布たちが、
今の私を静かに支えている。
「何を着ているか」は、
「どう生きているか」と、どこかでつながっている気がする。
強くいたい日、やわらかくいたい日、
その日の私を表現するための、小さな言葉。
私をつくる布たち。
それは飾りではなく、記録であり、選択の積み重ね。
今日もまた一枚を選ぶ。
完璧じゃなくていい。
今の私に、ちゃんと合うものを。
そうして少しずつ、私は形になっていく。
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