朝、なんとなく気持ちが重たい日がある。
理由ははっきりしないけれど、体も心も少しだけ鈍い。
そんな日は、とりあえずクローゼットの前に立つ。
「今日はどれにしよう」
その問いかけは、誰かに向けたものじゃなく、自分への小さな確認だ。
手に取ったのは、やわらかいニット。
包まれる感じがほしくて、自然とそれを選んでいた。
鏡の前で袖を通すと、ほんの少しだけ呼吸が深くなる。
服は、何も解決してくれない。
仕事の不安も、人間関係のもやもやも、消してくれるわけじゃない。
それでも、不思議と整えてくれる。
崩れそうな気持ちを、そっと支えてくれる。
少し背筋が伸びるジャケットの日もある。
「大丈夫」と言われている気がするワンピースの日もある。
今日は強くいこう、今日はやさしくいこう。
そんな無言の会話を、毎朝している。
流行や正解は、きっと外にある。
でも、私を救ってくれる一着は、意外と内側に近いところにある。
似合うかどうかより、落ち着くかどうか。
高いか安いかより、安心できるかどうか。
たった一枚の布なのに、
気持ちの重さを少しだけ軽くしてくれる。
それは大げさじゃなく、本当に小さな救いだと思う。
今日も服に救われる。
誰にも気づかれない、小さな出来事。
でも確かに、私はその一着に背中を押されて、外に出ていく。
明日もまた、きっと救われる。
クローゼットの中には、そんな味方が静かに並んでいる。
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