朝の空気が、ほんの少し変わったと気づく日がある。
窓を開けた瞬間の匂いとか、光のやわらかさとか、
言葉にできない小さな違い。
そんな日は、クローゼットの奥に手を伸ばす。
しまっていた服を、そっと取り出す。
季節といっしょに、私も着替える。
春は、軽いシャツが着たくなる。
まだ少し寒いのに、明るい色を選びたくなる。
心が先に、春を始めているのかもしれない。
夏は、風を通すワンピース。
肌にまとわりつかない素材を選びながら、
暑さから逃げるのではなく、うまく付き合う方法を探している。
秋になると、なぜか落ち着いた色に目がいく。
深いブラウンや、くすんだグリーン。
重ね着をしながら、少しずつ自分を包んでいく。
冬は、コートが主役だ。
外の冷たい空気に対抗するための、やさしい鎧。
マフラーを巻くと、心まで守られている気がする。
季節は止まらない。
同じ服装のままでは、どこかで無理が出る。
だから私は、少しずつ手放し、少しずつ迎え入れる。
衣替えは、ただの作業じゃない。
過ぎた時間をたたみ、これからの時間を並べる行為だ。
「今年も着たね」と思う服。
「来年はどうだろう」と迷う服。
そのひとつひとつが、季節の記録になっている。
季節といっしょに着替える。
それは、変わっていくことを受け入れるということ。
無理に逆らわず、流れに身をゆだねること。
今日の空気に合う一枚を選ぶ。
それだけで、少しだけ心が整う。
私はまた、季節の続きの中へ歩き出す。
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