2026年2月26日木曜日

季節といっしょに着替える

朝の空気が、ほんの少し変わったと気づく日がある。
窓を開けた瞬間の匂いとか、光のやわらかさとか、
言葉にできない小さな違い。

そんな日は、クローゼットの奥に手を伸ばす。
しまっていた服を、そっと取り出す。
季節といっしょに、私も着替える。

春は、軽いシャツが着たくなる。
まだ少し寒いのに、明るい色を選びたくなる。
心が先に、春を始めているのかもしれない。

夏は、風を通すワンピース。
肌にまとわりつかない素材を選びながら、
暑さから逃げるのではなく、うまく付き合う方法を探している。

秋になると、なぜか落ち着いた色に目がいく。
深いブラウンや、くすんだグリーン。
重ね着をしながら、少しずつ自分を包んでいく。

冬は、コートが主役だ。
外の冷たい空気に対抗するための、やさしい鎧。
マフラーを巻くと、心まで守られている気がする。

季節は止まらない。
同じ服装のままでは、どこかで無理が出る。
だから私は、少しずつ手放し、少しずつ迎え入れる。

衣替えは、ただの作業じゃない。
過ぎた時間をたたみ、これからの時間を並べる行為だ。
「今年も着たね」と思う服。
「来年はどうだろう」と迷う服。
そのひとつひとつが、季節の記録になっている。

季節といっしょに着替える。
それは、変わっていくことを受け入れるということ。
無理に逆らわず、流れに身をゆだねること。

今日の空気に合う一枚を選ぶ。
それだけで、少しだけ心が整う。
私はまた、季節の続きの中へ歩き出す。

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