「それ、似合うね。」
そう言われると、うれしい。
でもときどき、その言葉が少しだけ遠く感じることがある。
本当に欲しかったのは、
「それ、あなたらしいね。」
なのかもしれない。
似合う服は、きっと安心だ。
無難で、間違いがなくて、周りからも浮かない。
でも、好きな服は少しだけ勇気がいる。
派手かもしれないし、子どもっぽいかもしれないし、
今の年齢に合っていないと言われるかもしれない。
それでも、心が動く瞬間がある。
鏡の前で「いいかも」と小さく笑ってしまう瞬間。
その感覚は、理屈よりもずっと正直だ。
昔は、似合うを優先していた気がする。
雑誌の正解や、店員さんのアドバイス、
「大人っぽいですね」という言葉に安心していた。
でもある日ふと気づいた。
クローゼットに並んでいるのに、
なぜか手が伸びない服があることに。
似合うはずなのに、着たいと思えない。
それはきっと、好きじゃなかったからだ。
好きで選んだ服は、不思議と出番が多い。
何度も洗って、少しくたびれて、
それでもまた袖を通したくなる。
そこには、自分の本音がある。
似合うより、好きで選ぶ。
それは少しわがままで、少し自由だ。
でもそのほうが、服の中で呼吸がしやすい。
誰かの正解より、自分のときめき。
流行より、今日の気分。
鏡の前で小さくうなずけたなら、それでいい。
今日もまた、私は選ぶ。
似合うかどうかより、好きかどうかで。
0 件のコメント:
コメントを投稿