クローゼットを整理していると、ふと手が止まる服があります。
今はあまり着なくなったのに、なぜか捨てられない服。
流行が少し古く見えたり、今の自分には少し若く感じたりするのに、その服を見ると、あの頃の空気まで一緒によみがえってくることがあります。
服というのは、不思議なものです。
ただの布なのに、そこには時間が残っています。
初めて買った少し大人っぽいワンピース。
友達と出かけるために選んだブラウス。
少し背伸びをした日に着たスカート。
その一枚一枚には、その時の気分や、見ていた景色や、誰かに言われた言葉まで、静かに染み込んでいる気がします。
昔の服を見ていると、今の自分とは少し違う自分に会えることがあります。
あの頃は、この色が好きだった。
この形の服を着ると、少し自信が持てた。
この服で出かける日は、なんとなく気分が明るかった。
そんな小さな記憶が、服のしわや色合いの中から戻ってきます。
もちろん、今見ると少し恥ずかしくなる服もあります。
どうしてこの柄を選んだのだろう。
なぜこんなに派手な色を着ていたのだろう。
そう思いながらも、その時の自分は、その服を本気で好きだったのだと思うと、少しだけやさしい気持ちになります。
おしゃれは、いつも正解だけを選ぶものではないのかもしれません。
その時の気分に合っていたこと。
その日の自分を少し明るくしてくれたこと。
それだけで、その服にはちゃんと意味があったのだと思います。
年齢を重ねると、似合う服も変わります。
選ぶ色も、素材も、丈の長さも、少しずつ変わっていきます。
昔はかわいいと思っていたものが、今は少し落ち着かなく感じることもあります。
反対に、昔なら選ばなかったシンプルな服が、今の自分にはしっくりくることもあります。
それは、寂しい変化ではなく、自分が少しずつ今の場所に進んできた証拠なのかもしれません。
懐かしい服を無理に着る必要はありません。
もう今の自分に合わないなら、手放してもいいと思います。
でも、すぐに捨てられない服があるなら、それはそれでいいのかもしれません。
その服は、今の自分を作ってきた時間の一部だからです。
クローゼットの奥にある一枚の服。
少し色あせた布。
昔の写真に写っている、あの頃の自分。
それらを見つめていると、服はただ着るためだけのものではないのだと感じます。
服は、その時の気持ちを包んでくれるもの。
そして、時間が経ってから、そっと記憶を返してくれるもの。
懐かしい服を見つけた日は、少しだけ立ち止まってもいいのだと思います。
あの頃の自分を思い出して、今の自分と比べて、少し笑ってみる。
もう戻れない時間だからこそ、やさしく見えるものがあります。
そして今選んでいる服も、いつか未来の自分にとって、懐かしい一枚になるのかもしれません。
今日着る服も、何気ない一日も、あとから思えば小さな思い出になる。
そう考えると、いつもの服選びも、少しだけ大切にしたくなります。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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